夢は西日本初のサウナフェス!ものづくりを得意とする会社が集まって立ち上げたMIMASAKA SAUNA(ミマサカサウナ)
MIMASAKA SAUNA(ミマサカサウナ)は、岡山県の美作(ミマサカ)地域で、ものづくりを得意とする複数の会社が立ち上げたコンソーシアムサウナブランドです。
コンソーシアムとは複数の企業が「共同企業体」を組成して、一つのサービスを共同で行う取引のことを指します。
岡山県美作地域のものづくり企業を中心に結成された『ミマサカサウナ実行委員会』がMIMASAKA SAUNAの開発・テントサウナやアイテムの製造と販売を行なっています。
特徴的なのは、ミマサカサウナ実行委員会のメンバーの本業が実に多種多様であること。
ミマサカサウナ実行委員会中心メンバー瀬島佳子さん (岡山県出身)代表兼イベント担当 本業:美容師春名泰輔さん(岡山県出身) 写真撮影兼動画製作 本業:カメラマン山本拓磨さん(岡山県出身) サウナアイテム製作 本業:銘木販売業専務取締役大國洋治さん(岡山県出身) テントフレーム製作 本業:製缶業代表取締役髙橋拓己さん(岡山県出身) テントアイテム製作 本業:木工業代表取締役野村竜也さん(大阪府出身) テントストーブ製作 本業:鉄鋼業松永真樹さん(岡山県出身) お客様窓口兼広報 本業:建材販売業代表取締役須江 健治さん(岡山県出身) サウナハット製作 本業:家具製造,特殊プラスチックの成形・塗装
その他にも様々な職種の方々が集まり、地域の活性化に挑むMIMASAKA SAUNAについてご紹介します。
岡山県を盛り上げるためになにができる?
SEIKI DESIGN STUDIOのデザイナーである石井聖己さんは、代表である瀬島さんから岡山県が抱える問題をよく聞いていました。それは観光資源に乏しく観光客を呼び込むことが難しくなっているということ。理由は様々ありますが、大型リゾート施設の閉鎖や老朽化により、人を呼び込むイベントが起こしにくくなっていること等が挙げられます。
観光客が呼び込めなくなったという問題は観光業界の課題で、製造業やものづくりとはあまり関係がないように見えるかもしれません。しかし、岡山県で生活しているミマサカサウナ実行委員会の中心メンバーは、この問題を自分たちにも関わる問題だと捉えていました。親しんできた地元の危機に対して、ものづくりをしている自分たちは何ができるのか。ものづくりの分野から岡山県を盛り上げることができないだろうかと考えていたのです。はじめは行政主体のイベントで集まったものづくり企業のメンバーでしたが、気付けば自主的に集まり、ものづくりの未来や自分たちにできることを考えるチームになっていました。
そのような課題や、何かしたいという実行員の思いを聞いた石井さんは、2019年に自前のサウナセットを使い体験会を開催しました。岡山県美作地域の魅力である自然を活用し、何かできることはないだろうかと考えた結果、屋外で楽しめるサウナに行き着いたのでした。
これを機に、岡山県美作地域でMIMASAKA SAUNAのプロジェクトが始まりました。現在、1年以上かけて丁寧に作ってきたテントサウナでクラウドファンディングに挑戦中です。
フリーランスカメラマンであり、MIMASAKA SAUNAでは写真撮影や動画製作などを担当する春名さんは、当初は話題のコンテンツである“サウナ”をテーマに、地域の活性化や魅力発信に携わることができるという思いから実行委員会に参加したといいます。やがてサウナそのものの魅力に自身も虜になり、今では訪れた土地のサウナ施設を巡るのが日常になっているそう。
丁寧に作った国産テントサウナの特徴
■安心の国産品質で保守やパーツ交換が容易
MIMASAKA SAUNAのテントサウナは、全てのパーツが国内で生産されています。だからこそ、破損して修理が必要な時はスムーズに対応できるのです。ちなみにストーブ、サウナストーン、ペグなどサウナテントに必要なものがセットになっています。
■簡単な組み立てとトランクに収まるコンパクトな設計
MIMASAKA SAUNAが提供するテント型のサウナは、主に屋外で使用することを想定しています。実行員会がおすすめするのは自然の中でサウナを楽しみ、水風呂代わりに川や雪でクールダウンすること。持ち運びやすいようにコンパクトで組み立てやすい設計にしました。
■火のゆらめきを目で見て楽しむ
ストーブが中央に配置される設計になっており、人はストーブを囲む様に座ることができます。座ってサウナを楽しみながら火のゆらめきに心癒される空間です。また、座って火を囲むことで一体感を演出します。
■テント内外にあるポケットで便利で安心なサウナ体験
ロウリュ(熱したサウナストーンに水をかけて水蒸気を発生させることで、更に温度を上げること)を行う際に使うことがあるエッセンシャルオイルや、タオルなど細かいものを収納するためのポケットが、サウナの内と外につけられています。ちょっとしたこだわりですが、代表の瀬島さんは「手作りだからこそ、至らないところに手が届きます」とおっしゃっていました。良いものを作るために試行錯誤して辿り着いた気遣いです。
美作の魅力を活かすには・・・“サウナ”に行き着いた理由
自然の豊かさを利用して人を呼び込もうと考えた時、“サウナ”に行き着いた理由とは何でしょうか。
キーとなるのは、地域振興・産業開発・コミュニケーション。
■地域振興
美作地域を盛り上げたい。その思いがこのプロジェクトの原動力です。観光分野で活気を取り戻すというのはもちろんですが、美作地方でものづくりに取り組む人たちが盛り上がるプロジェクトにしたいという思いもあります。魅力的な地域として人を呼び込むなら、まずは自分たちで面白いものを作ったり、取り組んで地域を盛り上げようと考えています。
■産業開発
イベントとして行うサウナの楽しみ方は、自由です。サウナの横でバーベキューを行ったり、音楽を楽しむこともできます。ものづくり企業から始まったこのプロジェクトですが、サウナやイベントが育つにつれてボーダレスに繋がり、様々なジャンルの企業が参加していくことが期待されます。
■コミュニケーション
サウナアイテムは物ですが、コト(イベント)に繋げることができるアイテムです。岡山県でサウナを中心としたイベントを起こし、コミュニケーションツールのひとつとして育てたいと考えています。サウナの本場フィンランドでは、人々が集い交流する場としてサウナが親しまれています。ただサウナを楽しむだけではなく、社交場としての役割も果たすのです。MIMASAKA SAUNAが岡山県の観光資源になり、コミュニケーションを生み出すきっかけとなることを目指しています。
人と人が出会い共に取り組んだり、体験したりすることでコミュニケーションが生まれ、また新しい発想や価値が生まれる。ミマサカサウナ実行委員会の方々はこのように地域を盛り上げるべくサウナアイテム開発に取り組んでいます。
“サウナ”でつながる美作地域のものづくり
石井さんの発案で体験会をした際も、サウナの面白さを味わうだけでなく、“この構造なら作れそう!“と、作り手からの目線で盛り上がったといいます。中には、家具製作に携わってきたメンバーもおり、ファブリックや鉄には元々知見や経験がありました。実行員会のメンバーは、実際に販売されている海外製のテントを見ながら、どんな技術があれば作ることができるかを検討し、これまでそれぞれが培ってきた技術を活かすことができればテントサウナ製作は難しくないと感じたと当時を振り返ります。また、メンバーは、Uターンで美作地域に帰ってきた方や、後継者などが多く、チーム全体が地域の良さや魅力をどう活かすかというところに目が向いているといいます。
それぞれの本業とMIMASAKA SAUNAでの取り組みが良い化学反応を起こすことも想定できます。今回お話を伺った石井さんや、お客様窓口兼広報担当の松永さんは“こんなことができるかもしれないと考えたり、チームの仲間とコミュニケーションを取ることで仕事へのモチベーション向上にも繋がります”とおっしゃっていました。
そして何より、活動している側が楽しんでいるのがミマサカサウナ実行委員会です。テントフレームの製作を担当する大國さんは、「普段関わらない様な製品を皆んなと相談しながら課題をクリアして、作っていくことが楽しいです。」とおっしゃっていました。サウナアイテムの製作を担う山本さんは「テントサウナのクオリティーそのものをこだわることはもちろん、一番はこんな楽しい事をやってるストーリーがテントサウナの価値を上げていけるのだと確信しています。」と自分たちが楽しむことの重要性を感じているといいます。
それぞれの専門分野の「知識と経験」を集結させものづくりを進めることは、これからの新しい形の一つなのではないでしょうか。
ミマサカサウナの未来
今後はプロモーションや広報を重ねて、多くの人に実際に使ってもらうことが目標だそうです。サウナハットの製造等を担う須江さんは「今後はビジネスの軌道に乗せることを試行錯誤しなければ」と将来への課題を語ってくれました。
将来的にはサウナフェスを開催することを目標にしています。サウナを中心としてフェスティバルは東日本では開催されたことがあるものの、西日本では今現在サウナフェスが行われたことがありません。MIMASAKA SAUNAをキーにして、美作地域に人を集めるイベント開催を目指しています。
そして、MIMASAKA SAUNAのテントサウナや、サウナアイテムを実物で見てみたい方!東京での展示が11月1〜3日の3日間限定で行われます。期間中はテントサウナとアクセサリー(ベンチやサウナハット)を展示し、終日作り手である実行委員会の方々がいらっしゃるそうです。東京方面で実物を見る機会はあまりありませんので、お近くの方は是非!