技術を探しやすくすることは製造業のBCP対策

 
ものづくり新聞は製造業の方々向けに改革改善、IT/DX化事例のインタビュー記事を掲載しているWebメディアです。
 
先日、ものづくり新聞のインタビュー取材に応じていただいた製造業向け技術検索エンジン「ManuTech」を運営するグローバライズ日比章善さん。そのインタビュー記事で私が印象的だったのは、
 
きちんと技術に辿り着ける世界を作る
 
という言葉でした。Googleで検索すればなんでも検索できそうな現代において一見簡単そうに見える言葉ですが、非常に大切なことを示唆されていると思います。
 
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、製造業も大きな痛手を負いました。2021年ものづくり白書によれば、製造業のおよそ8割が営業活動に支障があり、生産活動、部材の調達などにも支障があったということです。
 
 
支障をきたした業務内容としてはもちろん営業・受注がトップなのですが、国内外の生産活動や部材の調達にも支障があったということです。
 
 
取引先が新型コロナ対策のため休業してしまうとその部材を調達することができなくなります。そのため、代替調達先を探す必要が出てきます。ものづくり白書によれば、およそ半数が在庫調整を行い、3割が代替調達先を探すという対策を講じたということです。本来はすぐに代替調達先が探せれば在庫調整しなくてもよいはずですが、代替調達先をすぐに探すのは難しいということを示唆しています。
 
 
なぜ代替調達先を確保することは難しいのでしょうか? ものづくり白書によれば、要因として「代替調達の効かない部材の存在」という理由がトップになっています。
 
 
供給する側から見れば、「自社にしかない技術がある」ことは大きな強みであり、その技術を使って製造する製品・部品は付加価値の高い製品であることに間違いはありません。一方、調達する側にとってみれば、今回のような新型コロナウイルスのような状況になった場合、突然その部品が調達できなくなるというリスクを負うことになります。そのような場合にも、同一技術ではなくても類似した技術や代替技術によって補完できる取引先を探せる仕組みが求められます。まさにBCP対策です。ものづくり白書は、「サプライチェーン全体でのレジリエンス強化」という言葉で必要性を説いています。
 
しかし、BCPが必要となる機会は突然発生します。そのような取引先をすぐに探すことは簡単ではありません。しかし、探そうとしてもいろんな企業がそれぞれ自社の技術をホームページなどでバラバラに紹介しています。ある会社は文章で説明していたり、ある会社は箇条書きになっていたり、言葉や用語もまちまちです。そのために検索されたとしても欲しい情報を探すためには時間がかかります。
そのような課題を解決しようとしているのが、グローバライズさんが開発する「ManuTech」です。
 
我々はフレーム化と呼んでいるのですが、それぞれの技術をグループ分けして”日本の製造業には今5000万の技術がある”というように整理していくことも重要だと考えています。
 
さらに最新のAI技術を使って、技術を探しやすくしていく、ということを実現しようとされているのです。このような仕組みがあれば、万が一の場合にも、すぐに代替調達先を探すことができれば、ものづくりのサプライチェーンを守ることができるはずです。
 
東日本大震災の後、調達先を把握できているかという質問に対して「あまり変わらない」と回答した企業は6割以上にも上ります。つまり、あのような大災害があった後も「サプライチェーン全体のレジリエンス強化」に多くの企業は取り組んでいないのです。そうした中、今回新型コロナウイルス感染拡大という事態が発生してしまいました。
 
 
 
大型台風や大地震など今後も世界的な変化が予想される中、ものづくり企業のBCPのための新しい仕組み作りの一つとしても「ManuTech」が役立つのではないかと感じています。
グローバライズ日比さんのインタビュー記事はこちらをご覧ください。
 
この課題について、実際に取り組まれていることやお考えがありましたら、コメントでお寄せいただければと思います。実際の現場の皆さまからのお話を、ぜひ伺いたいと思います!
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