佐賀県で行われたノリノリプロジェクト合宿に潜入
2021年12月5日、佐賀県佐賀市のさが水ものがたり館にて株式会社乗富鉄工所によるノリノリプロジェクトマーケティング合宿が行われました。(新型コロナウイルスの感染対策には細心の注意を払い開催されました。)
『ノリノリプロジェクト』とは、株式会社乗富鉄工所の新商品開発プロジェクトです。乗富鉄工所は創業以来、河川の水門をメインに水利施設機械や産業機械を製造している会社ですが、自社商品の開発にも積極的に取り組んでいます。
ノリノリプロジェクトは、乗富鉄工所の新たな柱として走り出した事業です。現在のラインナップは主にキャンプ用品で、鍋を火にかけるための五徳や、焚き火台などがあります。現在は、量販店や小売店、自社サイトで販売しています。
今回の合宿はノリノリプロジェクトに携わるメンバーが集まり、これまでの活動を振り返り、感じていることや今後取り組むべき課題、新しいアイデアなどを共有していく中で、チームの結束をより強めることが目的です。
アイスブレイク
プロジェクトリーダーである乘冨賢蔵(のりどみ けんぞう)さんからは、プロジェクトメンバーに向けて、改めてプロジェクトへの思いが語られました。
乘冨さん「乗富鉄工所は、これまで暮らしを守ることに徹した仕事をしてきました。でも、ノリノリプロジェクトが生まれ、ヨコナガメッシュタキビダイやスライドゴトクを作ることができたので、これからは暮らしを楽しくする仕事もしていきたいと思っています。社内外問わず、仕事を楽しくしていこうという気風をもっと作り出していく予定です。」
株式会社乗富鉄工所の歩みや、ノリノリプロジェクトの活動、乘冨さんについての詳細は以下のインタビューを是非ご覧ください。
合宿のファシリテーターを務める熊城良平(くまき りょうへい)さんは、普段は某有名ECサイトで新規事業開発を担当しています。地域創生や新しいことへのチャレンジが人生のテーマだという熊城さん。Twitterを通じてノリノリプロジェクトを知り、自分の人生のテーマにより近い活動ができるかもしれないと考え、参画しました。
ノリノリプロジェクトをマーケティング面から支えるのは、福岡大学准教授の飛田努(とびた つとむ)さんです。前任の大学で管理会計を教えていた際、会計士や税理士を目指す学生に対して、管理会計の重要性を教えるにはどうしたらいいだろうかと考えたことをきっかけに、現在は中小企業の管理会計を専門に研究されています。2021年4月には研究をまとめた著書『経営管理システムをデザインする』を出版されています。
今回の合宿は、ノリノリプロジェクトInstagramアカウントの運営を担当している2名を含めた合計5名のゼミ生と共に参加しました。
ノリノリプロジェクトへの参画は、Twitterで乘冨さんが自社で導入している業務改善プラットフォーム“Kintone”についてつぶやいたツイートが、目に止まったことがきっかけでした。
飛田さん「優秀な学生を育て、次世代を担う経営者の皆様と共に面白いことに取り組めるような繋がりを作っていきたいと考えています。その繋がりや取り組みは、九州という地であればできるのではないかと考えています。」
乗富鉄工所の川久保健太郎(かわくぼ けんたろう)さんは、新規事業部門で商品の管理や営業などを幅広く担当しています。
川久保さん「前職は造船所で設計を担当していましたので、新規事業でももっと設計を担当していきたいと考えています。よくアイデア出しをするのですが、その際、3次元モデルを作ることができれば、実際に物を作る前に様々なことが検討できると思うので、今後は取り組んでいきたいです。」
株式会社安永の安永翔太(やすなが しょうた)さんは、乗富鉄工所と同じく福岡県柳川市に拠点を構える鉄工所です。乘冨さんと安永さんは中学時代の先輩後輩の関係でした。今ではアトツギ仲間です。
安永さん「前職はアウトドア用品メーカーの株式会社モンベルに勤めており、当時はカヤックやラフティングなどを案内するリバーガイドもしていました。そういったアクティビティの楽しさをノリノリプロジェクトにプラスしていきたいと思っています。」
Gate Light Design代表の関光卓(せきみつ たかし)さんは、プロダクトデザインやブランディングなどの面でノリノリプロジェクトを支えています。関光さんは、プロダクトデザインだけでなく、開発過程やお客様の手元に届けることなどを含めて、モノとコトをトータルで考えることが重要であると考えています。ノリノリプロジェクトに関しても、製品であるモノはもちろんのこと、ブランディングなどのコトも含めてデザインしています。
福岡大学飛田ゼミの卒業生で、マーケティングコンサルタントの山口巧己(やまぐち たくみ)さんは、ノリノリプロジェクトのInstagramなどのSNS運用や拡散などを担当しています。ご自身のInstagramアカウントでは、Instagram運用スキルを発信しています。(山口さんのInstagramはこちらから)
山口さん「ノリノリプロジェクトの好きなところは、熱い想いを持つ方々が集まっていることです。様々な立場の方々と熱い話ができるのは楽しいです。今回はやっと皆さんと集まることができたので、交流を深めたいと思っています。」
飛田ゼミからは5名の学生が参加しました。Instagramの投稿など実運営を担うのは3年生の竹嶋海音さん(写真上)徳永彩さん(写真下)のお二人です。Instagram投稿のコツが掴めてきたようで、新規のファンを獲得することを目指したいとおっしゃっていました。
今年から飛田ゼミに入ったという3年生の井上朝陽さん(写真上)は、福岡大学のワンダーフォーゲル部に所属しています。アウトドアやアクティビティが好きで、それらにまつわる仕事を将来の選択肢の一つとしても捉えています。様々なことに挑戦しているノリノリプロジェクトで、多くのことを学びたいとおっしゃっていました。
2年生の櫻井遥斗さん(写真左)と萩田海斗さん(写真右)は、今後Instagramの運営などを引き継いでいく予定です。萩田さんは起業に関心があるものの、まだ悩みや葛藤も抱えている様子。今後本格的にノリノリプロジェクトに参画し、色々なことを学んでいきたいと決意を見せてくれました。
はじめて集う仲間とワークショップ
自己紹介の後、3チームに分かれてワークショップ形式で話し合いに入りました。事前に参加者から募ったプロジェクトの課題から、改善点や新しいアイデアを話し合います。
それぞれ立場の違うメンバー同士がグループになり、課題や改善点の裏に隠された思いを汲み取り、ノリノリプロジェクトをもっと良い活動にしていくために何ができるのかを議論しました。
数名ずつチームに分かれ議論したことで、全員がより当事者として課題を考える時間になったようでした。普段はなかなか聞くことのできない外部メンバーからの意見や、考えの共有ができたワークショップでした。
ノリノリプロジェクトの製品を使ってバーベキュー
バーベキューを楽しみながらも意識することは、チーム内で役割分担を決めて協力して作業すること、そしてチームメンバーの良さを見つけること。ノリノリプロジェクトのチームづくりを意識したイベントです。
まずは火起こしから。ノリノリライフの文字が見えるこちらは、ヨコナガメッシュタキビダイです。適度に風を通しながらも、灰が吹き飛ばないように両サイドにメッシュ素材が採用されています。
ヨコナガメッシュタキビダイを使用すると、このように飯ごう器などを3つほど並べて火にかけることができます。火力は場所によって変えられるので、場合に応じて調理器具を移動させながら調理できます。
事前に用意されていた材料を使い、チーム対抗でオリジナル料理作りにも挑戦しました。
ダッチオーブンを使い里芋と鶏肉を蒸し焼きにしたこちらの料理は、食材の旨味が凝縮されていて、皆さん思わず「美味しい!」と声を上げるほどの出来栄えでした。
キャンプ初心者は経験者に教えてもらいながら、屋外バーベキューならではの開放感にリフレッシュしていました。
Instagram運営を担当している山口さんは、キャンプを楽しみながらも投稿用の写真撮影に余念がありません。角度や構図にこだわりながら撮影していました。(ノリノリライフのInstagramアカウントはこちら)
メンバー同士の距離が縮まった
バーベキューを楽しんだ後は、各チーム、共にバーベキューをした仲間の良い所を見つけ、代表者が発表します。午前中のワークショップではまだ距離があったメンバーも、共にバーベキューの準備や調理に取り組むことで、距離が縮まったようでした。
野菜を切る手際が良いメンバーや、初めての飯ごう炊飯や薪割りに真剣に取り組んでいたメンバーなど、それぞれの役割で助け合うことができたという皆さん。オリジナル料理作りでは、アイデアを出しながらリードしてくれたというメンバーも。
最後にノリノリプロジェクトリーダーである乘冨さんより、締め括りの挨拶がありました。
乘冨さん「私の中では色々と考え尽くしたと思っていましたが、今日のように様々なメンバーでワークショップをやってみると、新しい意見が出てきて非常に参考になりました。バーベキューも楽しく、今回限りと言わず今後も是非開催したいです。今回このイベントをきっかけに、参加者同士色々な繋がりを作り、色んな相乗効果を出していただけたら嬉しいです。本日はありがとうございました!」
ー編集後記ー
これまでチャットやオンライン会議でのやり取りがメインだったプロジェクトメンバーの皆さん。今回オフラインで初めて一同に集まるということで、はじめは距離があったように見えましたが、ワークショップやバーベキューを通して笑顔が増え、お互いの距離も縮まったようでした。
合宿に参加したノリノリプロジェクトのメンバーは、乘冨さんが様々なかたちで自分たちの取り組みを外にオープンにしてきたことで繋がった方々です。Twitterでの発信はもちろんのこと、欲しい情報やスキルがある人にどん欲にアタックしてきたことにより、今では年代も分野も異なる様々な人たちが関わる取り組みになりました。
今回の取材は『外に対してオープンになることで道は拓かれた』という乘冨さんのインタビューでのお話を、まさに目の前で見せていただいたと感じる取材でした。『暮らしを楽しくする仕事をしていきたい』という乘冨さんに今後も注目していきたいと思います。