【ものづくり女子の休憩室 前編】みんな、なんで製造業で働いているの?

 
「今度、新卒の方が入社することになったんです。」
「若手の採用に力を入れたいんだけど・・・」
取材していると、そんな声に出会うことがあります。
 
ものづくりの未来を考えた時、若手の育成や技術継承は課題の一つです。採用や研修など既に工夫して取り組まれている企業も様々あります。
 
私たちは取材を通し、どんな改革もそこで働く人たちや取り巻く環境に目を向けることが重要であると感じています。そして、今ものづくりの現場で働いている人の言葉に、課題解決のヒントがあるのではないかと考えたのです。
 
そこで、今回ものづくり新聞は「ものづくり女子の休憩室」と称し、製造業従事者の中では少数派である女性に集まっていただき、オンライン座談会を開催しました。皆さん今年入社の方から勤続4年程の若手の方々です。
なお、休憩室の中で話すように本音で雑談するという主旨から、発言は匿名となっております。どうぞご了承ください。
 
それでは本音のトークを、ちょっとだけ耳をすまして聞いてみましょう。
ようこそ、ものづくり女子の休憩室へ。

ものづくり女子の休憩室🍵🍩参加メンバー

 
井上「皆さん、こんにちはー。今日はよろしくお願いします。早速ですが、事前にお送りしたお菓子はご準備いただけましたか?今回は “東京っぽさ” と “映え” を 意識して東京駅で買ってまいりました!笑  どうぞ自由に食べながらご参加ください。」
 
同じお菓子を日本の各地から参加される皆さんと一緒に食べながら、早速トークスタートです!

なぜ、製造業の会社に入社したのですか?

製造業で働く女性は年々減少傾向にありますが、皆さんの会社はどうでしょうか?まずは、どんなきっかけで入社したのか聞いてみました。
 
井上「皆さん、製造業に入社したきっかけは何ですか?」
Aさん「知り合いの紹介です。学校を卒業してからなかなかいい仕事が見つからずアルバイトしていたところ、こんな仕事があるよと父親の知り合いに紹介されました。全くの未経験だったのですが、むしろ未経験者を求めていたみたいで、だったらやってみようかなと思って入社しました。」
Bさん「私も親の紹介です。その前は接客業と全く違う分野でした。」
 
井上「お二人とも親の紹介なんですね。未経験から製造業に飛び込むというのは不安ではなかったですか?」
Bさん「特に不安はなかったですね。私の兄弟も製造業に勤めていて、何となく身近だったのもあると思います。」
 
 
Aさん「製造っていろんなところで数字を使うのですが、私は数学が苦手でそこはちょっと不安でした。笑 できれば数字や数学と関わらずに仕事しようと思っていたくらいなので・・・。でも、もちろん教えてもらえますし、単純な計算も多いのでやってみたら意外と私でもできるなと感じています。」
 
中野「数学的な要素はけっこうありますもんね。Cさん、Dさんはいかがですか?」
Cさん「私は工業系の学校出身で、もともと製造業に就くことを目標にしていました。いまの会社に入社したのは、私も親からこんな会社があるよと教えてもらったことがきっかけです。」
Dさん「私は、ものづくりが好きだったので製造業で働きたいと思っていました。何かを作ることが楽しそうに思えたんですよね。」
 
中野「私の場合は、就活の時、はじめは当たり前のように営業や事務職に就くものだと思い込んでいたのですが、視野を広げると製造業があることに気付いたんです。みんなで何かを作ること自体が面白そうだと思って入社を決めました。」(記者中野が製造業に就職した時のエピソードはこちら
 
 
井上「なるほど。入社にあたってホームページやSNSで企業のチェックはしましたか?」
Aさん「私が入社した時はまだSNSはなくて、ホームページのチェックくらいですかね。あ、でもYouTubeに動画があったのでそれを見ました。」
Bさん「私もYouTubeに動画があったので見ました。雰囲気も少しわかったので、なんか面白そうな会社だなと思った記憶があります。」

製造業、肉体労働はつらくない?

井上「製造業って危険と隣り合わせですし、肉体労働の苦労もあると思うのですが、その辺りはどうですか?」
Dさん「キツく締まったボルトを開けなきゃいけない時があるんですが、本当にキツいのでなかなか開けられないことはあります。」
 
中野「それ、わかります!ガチガチですよね。」
井上「どうしても開かない場合はどうするんですか?」
Dさん「ひと通りあれこれやってみてどうにもならずお手上げ状態になったら誰かに手伝ってもらいます。」
 
 
中野「けど、そのあれこれやっている時にだいぶ体力使うんですよね・・・私はスクラブ入りのハンドソープで手が荒れたことがありました。あれじゃないと汚れが落ちないので、仕方ないんですが結構困りましたね。」
Cさん「私はあまりないかもしれないです。工場内の気温が高かったり、汗もかなりかきますが、現場での仕事が楽しくてそういう過酷さは集中していると忘れちゃいます。」
 
 
井上「他の皆さんはいかがですか?重いものを運ぶことも多いと思いますが、どうやってますか?」
Bさん「ひとつひとつは軽くても、ダンボール箱にまとめて入れて運ぶとすごく重たくなり大変ですね。でも、女性が持っていい重さって法律で決まってるんですよね。」
(参加者一同、頷く)
 
井上「え、そうなんですか!」
Bさん「それが20kgまでと決まっていて、オーバーする場合はリフトを使って運ばなきゃいけなくて。でも私、リフトの資格持ってないんですよ。笑」
 
井上「となると、誰か男性の方や、資格をお持ちの方にお願いするんですか?」
Bさん「そうなるんですが、私の部署ってほとんどが女性なんです。それに運びたい時に頼れる人がいないことも結構あるのでリフトの資格を取ろうとしたこともあったんですが・・・」
 
井上「資格があれば自分でできますもんね。是非、取得したいと考えますよね。」
Bさん「はい。でも、女性だし資格いらないんじゃない?という雰囲気があって、あったら便利なんですが、取得は断念したんです。」
 
井上「えー!それは結構不便そうですね。女性が大切にされているようないないような・・・?みなさんは力や身長のせいでできずに困ることってありますか?」
Dさん「高いところにある工具などが取れないので、踏み台を持ち歩くことはありますね。基本的にはほとんど男性と同様の作業をしていますが、特に危険度が高い作業はしないように配慮してもらうことはたまにありますね。」
Cさん「ずっと重いものを持ち続けたりはしないので、疲れはしますがなんとかなっていますね。」
 
中野「・・・ここだけの話、危険な目に遭ったことはありますか?」
Cさん「溶接作業中に火花が飛んできて火傷したことは結構あります。笑」
Aさん「私も溶接中に軍手が燃えたことあります。汗 なんか焦げくさいなと思っていたら燃えてて・・・。集中しすぎて気づかなかったんです。手袋を何枚か重ねていたので、火傷はしなかったんですけどね。」
 
 
井上「わー・・・それは怖いです。Dさんはいかがですか?」
Dさん「かなり重いワーク(工作物)を天井クレーンで吊っていて、それを地面に降ろす時に、手を添える位置が悪くてチェーンとワークの間に挟まってしまったことがあります。」
中野「それはかなりヤバい!」
井上「キャー!想像するだけでゾッとします。。」
中野「クレーンって時々振れてしまったりして、ほんと怖いですよね。」

仕事はどうやって覚えていった?

井上「ところで、入社時の研修について伺いたいです。どんな研修がありましたか?」
中野「マナー講座のようなものを1日だけ受けて、あとは現場研修でした。各工程を回っていくような感じです。」
Bさん「私のところは社外から講師の先生がきて、マナー講座を受けました。あと情報保護についてとかもあって、わりとしっかりと受けました。」
Dさん「私はクレーンの研修もありましたし、マナー研修はオンラインで受けましたね。」
井上「皆さん社会人としてのマナー研修は基本的にやってらっしゃる感じなんですね。業務に関する研修はどうでした?」
Cさん「先輩の仕事を見て覚えたり隣についてもらいながら実際の仕事をやって覚えていきましたね。それで、少しずつ簡単な作業から任せてもらったりして、徐々に1人でやれるようになっていきました。」
 
 
Aさん「私は新入社員向けの本を渡されて、社会人としての基礎みたいなところは自分でそれを読んで学びました。実際の仕事は先輩から聞きながら、マンツーマンで教えてもらいましたね。」
 
井上「実際の仕事は先輩に直接教えてもらうことが多いんですね。マニュアルなどはありましたか?
Bさん「私のところはありますね。システムとかやり方がどんどん変わっていく部署にいるので、常に最新のマニュアルに更新し続けています。」
 
中野「それはExcelなどで作成しているんですか?」
Bさん「はい。Excel、Word、PowerPointを使って写真も入れつつ作っています。新しく部署に来た方や、他部署の方が作業する時にも見てもらっています。」
 
井上「現場で作業しながら、マニュアル作成のような業務もあるんですね。それって結構一般的なことですか?」
中野「細かいところのマニュアルって、現場じゃないと作れなかったりしますよね。」
Bさん「そうなんです。結局その仕事をするのは私たちなので、私たちが作るしかないんですよね。」
 
井上「なるほど。確かにやっている人が一番わかりますもんね。Dさんはいかがですか?」
Dさん「設計の部署などにはマニュアルはあると思うんですが、現場にはそういったマニュアルはないですね。本当にいろんなやり方があるので、マニュアルにするのは難しいかなと思います。」
Cさん「私もマニュアルなどはなくて、聞いたことを自分でもメモにとっていました。でもそれをポッケに入れたまま洗濯しちゃったこともあります。汗」
 
 
中野「あるあるですね。笑 Aさんはいかがですか?」
Aさん「私のところもマニュアルはなかったんですが、教えてもらったことをノートにまとめてマニュアルを作っている最中です。お客様によって仕様が違うことも多々あるので、一つできればいいという感じではないですね。」
 
中野「そうなんですよね。作業によっても本当に細かい内容が沢山あったり、書いて表すのが難しいこともあるので、結局人に聞くのが一番早かったりします。」
井上「そうすると、新人さんが教えてくださいと言いやすい雰囲気だったらいいですが、聞きにくかったりすると困りますよね。受け入れる側の準備や心構えも重要な気がします。」
中野「そうですね。コミュニケーションの取りやすい雰囲気はかなり大事だと思います。」
 

企業SNSの運用もされていますよね?

井上「皆さんが勤めている企業はそれぞれTwitterやInstagramなどのSNSをしていらっしゃいますが、この中にも担当されている方がいらっしゃると伺いました。」
Dさん「1人ではなく、社内のメンバーと運用を任されています。SNSで自社製品をアピールしたり、製造業のことを全く知らない方々に向けて、うちはこんな会社だよということを発信して、少しでも製造業に興味を持ってもらえたらなと思っています。」
 
 
Aさん「私も複数名でアカウント運営していて、目的は求人や採用の部分ですね。ハローワークとかでうちの会社のことを知ってもらったとしても、製造業ってイメージしにくいと思うんですよね。私も製造業初心者でわからなかったので、だからこそSNSというラフな媒体を使って、うちの会社ってこんなの作ってますよということを発信すれば、全く知らない人でも少しはイメージできるかなと思っています。でも、結構大変なんですよね。笑」
 
井上「どんなことが大変ですか?」
Aさん「複数でやってるとはいえ、本業ではないので忙しくなると結構ほったらかしにしちゃってて。そういうバランスってどうしてますか?」
Dさん「いつ誰がやるとかの決め事はないので、私も結構ほったらかしにしちゃってますね・・・。笑」
 
井上「企業の公式アカウントだと、投稿一つにしても結構悩みますし、意外と時間もかかりますよね。本業の仕事をしながらは難しいというのはわかります。でも、現場の人目線の投稿っていいなとも思いますし、バランスは難しいところですね。」
 
いかがでしたか?
同じ業界にいながらも普段はバラバラで働いていて会うことはないものづくり女子たちが、ものづくり業界に入ったきっかけ、入社後の仕事の覚え方やSNSの運用にまで話題が広がった前半でした。
後半は “職場のトイレ”の話で大盛り上がり!?というテーマです。
それでは、引き続き後編をお楽しみください!