超高速AI⾃動選別機を開発するハードウェアベンチャーのエンジニアはカカオ86%が大好き:株式会社ロビット
2023年05月24日 公開
「超高速AI自動選別機」は、食品や薬品などの中から、形・色などの不良を判定して取り除く機械です。
見た目はシンプルな装置に見えますが、この中には、ベルトコンベア、カメラ、空気吹き出し、そして頭脳となるAIコンピュータなどさまざまな機能が詰まっています。一般にこれらの作業は人の目で評価し、手作業で不良を取り除いていたのだそうですが、次々に流れてくる食品や薬品をずっと見つめ続けなければなりません。とても根気の必要な作業でしたが、そのような作業から解放される時代が到来しました。
このちょっと面白い装置を開発しているのは、ハードウェアベンチャー企業である株式会社ロビットでエンジニアを務める手島 崇文(てしま たかふみ)さんです。こんな面白い装置を開発してしまう人とは、どんな人なのでしょうか?
ハードウェア装置開発を担当する手島崇文さん
ーーこの機械はすでにお客様にお納めしたのですか?
手島さん:つい先日(取材は2023年3月)納品したばかりです。その作業に集中していたので今はほっとしています。
ーー具体的にどの部分を担当していたのですか?
手島さん:ハードウェア部分全般です。筐体などの板金部品と標準的なネジなどの部品は購入していますが、それ以外の部品は全部自社内で加工しています。その部品加工も担当しています。
ーーたとえば切削や穴あけもご自身でやっているということですか?
手島さん:はい、そうです。
ーー設計もやっているのですか?
手島さん:はい、設計もやっています。まず、設計前にお客様と打ち合わせし、どんな検査装置が必要かというお話をお聞きします。その課題を解決するために「ポンチ絵(手書きで描かれた概念図)」を作成し、さらにお客様のイメージと合っているのか確認します。イメージが確認できましたら3次元CADを使って図面を作成します。モーターや電気基板の配置を検討し、ハーネス・ケーブルの配置も考えていきます。
ーー大きな会社では何人ものチームで行いそうな作業をお一人で担当しているんですね。
手島さん:そうですね。もちろん電気基板やソフトウェアは別の担当がいますが、それでも大きな会社に比べると非常に小さいチームです。
ーー設計、加工が終わると装置を組み立てるのですよね?
手島さん:そうです。組立のあと動作確認を行います。当初狙っていた仕様を満たしているかどうかチェックし、問題がなければお客様のところに出荷します。もちろん出荷にも立ち会い、装置がきちんと動作するまで見届けます。
ーー本当に最初から最後まで担当されているのですね。
手島さん:はい、こうやって全体を担当できるのは楽しいです。大きな会社だと役割が細かく分かれていることが多いのですが、ロビットではまだ人数が少ないこともあり、全体に目を配らないといけません。今は、それが面白いですね。
ロボット・メカ漬けのキャリア
ーー子どもの頃からハードウェアがお好きだったのですか?
手島さん:「レゴ」をひたすらやっていました。飛行機や乗り物などをたくさん作っていました。「トランスフォーマー」も好きでした。今から思えばメカ的なものが好きでしたね。
ーーその後、大学でも機械を学んでおられたのですか?
手島さん:理工系の大学に進学し、その大学でロボットサークルに加入していました。先輩がロボット系の会社を起業したので、その会社に就職しました。それ以来ずっとロボットやメカを担当しています。災害用クローラや発電所内部調査ロボットなども開発してきました。
ーー筋金入りのロボット好きなんですね。ロボット以外のご趣味はありませんか?
手島さん:バイクが好きです。ですがバイクをいじることはしていなくて、バイクに乗るのが専門です。
ーーそこは意外ですね。バイク改造もされているのかと思いました。
手島さん:バイクって、そもそも開発したメーカーの設定が一番だと思うんです。あれこれいじるよりも、メーカーが決めた形が最高のパフォーマンスを発揮するはず、と思っています。
ーーロビットにはどのようなきっかけで入社されたのですか?
手島さん:先ほどもお話ししましたが、自分で切削や加工・組立まで行える環境を求めていました。その意味でロビットはバッチリでした。面接をしていただいた社長はじめ皆さんが社員を大切にしている雰囲気も感じました。
ーー社員を大切にしているといえば、このオフィスにも豪華なキッチン設備がありますね。
手島さん:ときどき料理の得意な方がキッチンでランチを作って振る舞っていることがありますね。和気藹々とした雰囲気です。
今後は業務がきれいに回せる会社に変えていきたい
ーーお仕事されるうえでトラブルやうまくいかないことはありますか?
手島さん:もちろんあるにはあります。しかし、原因を確かめて解決していく、そしてすぐ試す、というふうに対処していくことは、むしろ苦ではありません。
ーーそれでも、息抜きしたいときはありますよね?そんなときはどうされていますか?
ーー今後のロビットをトラブルのない体制にしていくためにやりたいことはありますか?
手島さん:業務フローを綺麗に回せる会社にしたいです。今はまだ個人の技術に頼っている部分がありますが、それをロビット流として方法を確立していきたいです。すでに私がロビットの基準や指針をまとめているところです。また、タスク管理やスケジュール管理といった仕組みも導入していきたいと考えています。
ーー個人的にやってみたいことはありますか?
手島さん:検査装置だけではなくて、巡回ロボットなど、他のロボットにも取り組んでみたいです。
ーーやはりやりたいことは「ロボット」なんですね(笑)
編集後記
オフィスの机の横には、マンガや趣味の本がたくさんありました。社員の皆さんが時々オフィスで読んでいるのでしょうか?
さらに、子ども用のおもちゃや靴などの、子どもグッズも置かれていました。若い社員が多く、お子さんが小さい方も多いそうです。使わなくなった子どもグッズを持ち寄って、譲り合っておられるのだそうです。
ベンチャー企業の社風を感じた瞬間でした。
なお、株式会社ロビットについて、代表取締役の新井雅海さんにインタビューした記事もご覧ください(2021年5月記事)。
(ものづくり新聞 編集長 伊藤)
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