マニュアル作成だけではなく、業務改革を実現するクラウド型手順書プラットフォームTeachme Bizー株式会社スタディスト 山下公平さん
こんにちは ものづくり新聞です。
当サイトは製造業の方々向けにインタビュー記事を掲載しているWebメディアです。ソリューションやサービスの提供元へのインタビューはもちろん、実際に製品やサービスを導入した側へもインタビューしています。ものづくり企業に勤める皆さんにとって本当の意味で役に立つ情報を提供したいという思いで、ただ情報を羅列するのではなくより具体的なイメージができる情報発信を目指しています。詳しくはこちらの自己紹介記事をご覧ください。
さて、ものづくり新聞第5回目のインタビューは、株式会社スタディストのCOOでTeachme Biz事業本部長の山下公平さんです。スタディストのメイン事業であるTeachme Bizは簡単かつシンプルに手順書の作成・共有・管理を行うことのできるクラウド型手順書(マニュアル)作成・共有ツールです。
Teachme Bizは動画や写真を利用してマニュアルを作成します。作成したマニュアルはクラウド上で管理され、いつでもどこでも編集・閲覧が可能です。
生産性向上や人材育成に課題を感じておられる製造業の方は多くいらっしゃると思います。ものづくり新聞の記者である中野も、以前製造業に従事していた際、このTeachme Bizを利用していたという背景もあり、製造業で導入するきっかけにしてほしいと考え、今回のインタビューが実現しました。山下さんのお話をお聞きすると、マニュアル作成にとどまらず、業務改革や生産性向上を実現する仕組みを目指しているとのこと。ものづくりの方々への具体的な活用方法も詳しくお聞きしました。
(ものづくり新聞は🗞と表記させていただきます。)
株式会社スタディスト 山下公平さん
🗞それでは早速ですが、自己紹介をお願いします。
「はい。Teachme Biz事業の本部長で、責任者をしています。営業の数値を見たり、開発とも連携して機能改善に取り組んだり、Teachme Bizに関する業務を幅広く行っていますね。でも、スタディストに入社してからの経歴でいうとちょっと特殊で半年前までCFO (最高財務責任者)だったんですよ。」
🗞CFO(最高財務責任者)ですか!
「そうです。2016年12月に入社した際はCFOとしてバックオフィス系の業務や資金調達などを行っていました。それまでTeachme Bizには経理、財務の立場から携わっていたのですが、コロナ禍もあり事業計画の見直しをするタイミングがあった時に、Teachme Bizをリビルドしていくような役割の仕事をしてみたいと思い、その意思を代表に伝えてこのボジションに変わったんです。」
🗞いつ頃、現在のTeachme Biz事業部本部長に変わられたんでしょうか?
「正式に着任したのは2020年10月ですね。現時点(2021年5月)では着任から約半年といったところです。なのでTeachme Bizのことを勉強しながら、責任者をやっていますね。」
🗞スタディストさんに入社される前はどのようなご経歴なんでしょうか?
「投資銀行に勤めていてM&Aなどをやっていました。その経験があり、スタディストにはCFOとして入社したので、入社当時は事業本部長になるとは思っていませんでした。笑」
🗞全く違うご経歴ですね!入社したきっかけはどこにあったのでしょうか?
「ビジネスモデルや世界観に共感したことが大きいですね。Teachme Biz含めプロダクトそのものもユニークですし、学びを重視するという精神へもシンパシーを感じました。それとCFOとしてチャレンジしたいという思いもあり入社を決めましたね。」
🗞そして、現在はTeachme Biz事業部の本部長になられたんですね。
「CFOという立場からTeachme Bizを見ていくうちに、Teachme Bizというプロダクトそのものが面白いなと思うようになっていきました。それと同時に、実現しようとしている世界観と機能的にまだ足りていないところのギャップにも気付き始めて、そこをしっかり埋めていくことでもっとポテンシャルを出していけるんじゃないかとも感じるようになりました。Teachme Bizが価値のあるものだと感じているので、よりそちらに挑戦してみたくなったんですよね。」
🗞CFOと事業本部長だと要求されるものも異なると思いますが、そのあたりは約半年やられてみてどうですか?
「Teachme Bizに関して色々なことがやれる分、成果もきちんと出さなければいけないのでまだまだ勉強中のことも多いですね。まず得意な部分からと考え、営業やマーケティングの数値周りを見ていくことから始めました。あと、カスタマーサクセス部の部長も兼務しているのですが、実際にお客様を担当させていただいています。直接お客様とコミュニケーションを取ることで、お客様がどう言った課題を感じられているかが分かり、その解像度もどんどん上がってきていると感じています。一つずつチャレンジしながらやっているというのが現状ですね。」
Teachme Bizについて
🗞それでは、Teachme Bizのご紹介をお願いします。
「Teachme Bizをひとことで言うと”マニュアル作成・共有プラットフォーム”です。マニュアルは作成するのが結構大変で、かつ大変な思いをして作ったのにあまり活用されていない、そんなイメージを持たれている方も多いのではないかと思うんですが、Teachme Bizは簡単にわかりやすいマニュアルを作り、共有することができるというツールです。」
🗞マニュアルはほとんどの企業にあるものですよね。その作成や共有をサポートするのがTeachme Bizなんですね。
「Teachme Bizを導入することで何が変わるのかと言いますと、”何かの手順を人に伝えるというプロセス”が変わってくると思っています。一般的に手順を教える際はOJTで伝えたり、文書のマニュアルを作成して読んでもらったりしていると思うのですが、きちんと伝わっているかわからないことも結構あるのではないかと感じています。それに先ほど言ったように資料作成は手間がかかります。その手間を省いて簡単にわかりやすいマニュアルを作ることができれば、誰に対しても同一の質で手順を伝え、教育することができます。」
🗞単なるマニュアル作成ツールではなく、伝え共有するということにも役立つものというイメージでしょうか。日本ではかなり多くの方に使われているプロダクトだと思うのですが、ここまで支持されている理由はどこにあるとお考えですか?
「私もお客様と直接関わるようになって再認識しているところなんですが、マニュアル作成や人材育成に悩みを抱えておられる企業様が多いんですよね。業種や業界、また業績や立場も問わずに多くの企業様で試行錯誤されています。中には情報整理から始める必要がある場合や、せっかく作ったけど誰も見てくれず悩んでいるケースなど様々いらっしゃいます。そういった思いを抱えている企業様にとって役立つプロダクトであるというのが、ご支持いただいている理由の一つだと考えています。」
🗞確かに人材育成などは大小問わず多くの企業で課題ですよね。他にはありますか?
「はい。働き方改革やリモートワークの普及によって、面と向かって研修が行えなくなってしまった企業様が多くいらっしゃいます。そうなると業務を伝えるために、マニュアルを作成し、見てもらわなければならないという状況になり、より一層マニュアル作成や活用の難しさを感じ、その結果Teachme Bizを導入されるお客様もいらっしゃいますね。もともとマニュアルに対して持っていた課題にプラスして、リモートワークによって更にこういったツールを必要とされるお客様が増え、ご支持いただけるようになりました。」
🗞ここまでドンピシャなTeachme Bizをどうやって開発したかという背景が気になります。
「マニュアル作成を手助けしたいという思いのルーツは、スタディストの創業メンバー自身がマニュアルを作成していた側であったことにあります。創業メンバーは前職が業務改善コンサルタントだったのですが、業務改善のためシステムを制作し、導入となった場合最後にそのシステムのマニュアルも作成し納品するんです。それが大きいファイル何冊分にもなっていて、知りたいことがあっても広げて見るだけでも一苦労なんですね。なので納品しても見てもらえないことも多かったといいます。作成も時間がかかりますし、紙なので変更や修正も大変なんです。そこを何とかならないだろうかと考えたことが開発のきっかけですね。」
🗞自分たちが困っていたことを自分たちで解決した結果、Teachme Bizが生まれたのですね。サービス開始当初導入いただいていたのは製造業の方々が多かったんでしょうか?
「サービス開始が2013年なんですが、当時製造業の現場にスマートフォンやタブレットを持ち込むことが厳しかったので、サービス開始した頃は税理士事務所や飲食店、小売業の企業様で導入していただくことが多かったです。現在ではスマートフォンの持ち込みルールが緩和されたこともあり、今は製造業のお客様が一番多いですね。(約23%)」
🗞そうなんですね。業界や業種はあまり絞らず、幅広く使っていただいているのでしょうか。
「はい。業界や業種で絞らずに幅広い企業様でお使いいただけます。」
Teachme Bizで業務改善、生産性向上を目指す
🗞先ほどマニュアル作成に課題を抱えられている企業様が多いとお聞きしましたが、他にどんな目的でTeachme Bizを導入されるお客様がいらっしゃいますか?
「”業務効率化”や”生産性向上”と言うテーマを掲げられているお客様は多いですね。マニュアル作成ツールなので、マニュアルを作成するところから始まるんですが、作成するだけではお客様の最終的な目的である業務効率化や生産性向上にスムーズにいかないこともあるんです。そのギャップはなぜ起きてしまうのかと言いますと、キーワードはマニュアルの浸透なんですよね。具体的には知られるべき人々に知られるべきタイミングで伝達されているかどうか、いざと言う時にすぐ閲覧できるかどうかというところです。」
🗞効率化や生産性向上のためにマニュアルを作成するだけでは、あまり活用されないということですか。
「はい。我々3Hと呼んでいるのですが、マニュアルが必要なタイミングって”初めて・変更・久しぶり”のタイミングなんですよ。」
マニュアルが必要なタイミング
🗞日本語の3Hなんですね!
「そうなんです。この3Hのタイミングでスムーズにマニュアルを活用することができなければ浸透はできないと考えているので、ギャップを埋めるために機能強化には力を入れています。現時点では、トレーニング機能で初めて学ぶ方をサポートしたり、変更があった際にそれを進めるタスク配信ができる機能などがあります。」
🗞なるほど。浸透のための機能強化にも力を入れておられるのですね。
「それともう一つ強化していることがあります。良いツール、機能があってもそれを提供して終わりというだけでは、業務効率化や生産性向上にはなかなか結びつかないこともあるんです。
そこでお客様へ直接機能を説明することはもちろんのこと、導入計画やマニュアル浸透のためのお手伝いをさせていただいております。マニュアルにしたい作業が明確に決まっている場合は良いのですが、中には業務自体が明確に定義されていなかったり、定まっていないこともあります。
その部分をサポートしていくことも必要だと感じております。創業当初は行っていませんでしたが、より手厚くお客様をサポートしていくという方針に変わっていきました。」
🗞そうするとお客様それぞれの事情や状況も違うと思うので、それに沿ったきめ細かい対応ができますね。
「そこは創業メンバー含め業務改善や生産性向上をやってきたコンサルティング出身のメンバーがいるので、手厚く細やかに対応できますね。」
製造業でTeachme Biz
🗞弊社はものづくり新聞なので、製造業でのTeachme Biz活用方法などがあればお聞きしたいのですが、面白い使い方などありますか?
「一般的には機械操作や加工手順などの業務マニュアルを作成する際に使っていただくことが多いですね。あとは作業にプラスして事務的な作業が絡んでくるケースもマニュアル化して作業が漏れないようにすることもあります。より発展的な使い方としますと、Teachme BizはそれぞれのマニュアルのQRコードを発行することができるんです。それを印刷し機械に貼り付けておけば、スマートフォンでかざすだけですぐマニュアルを閲覧することができます。見たい時にさっと見ることができて共有もしやすいですね。」
🗞確かに、機械の操作法などはその機械そのものに貼り付ける方が見やすいですね。
「あとは、ITツールの使い方を教える際にTeachme Bizを活用していただいているケースもあります。先ほど創業当時の部分で話したことに近いですね。近年、製造業へITツールやシステムを導入するケースが増えてきていると思うんですが、その際によりわかりやすくスムーズにシステムに馴染んでもらうためにTeachme Bizでマニュアルを作って頂いています。やはりそういったシステム関係の使い方は紙よりもわかりやすいですし。」
🗞マニュアル以外の用途にも使われているそうですね?
「はい。現場の作業報告に使っていただいているケースもあります。例えば現場で起こっている不具合などをTeachme Bizのフォーマットを使って報告し、共有を図る目的です。Teachme Bizはクラウド型で更新した情報もすぐ反映されるので、何か情報を共有したい時にもご活用いただけます。」
かつてTeachme Bizを活用していたユーザーの声
株式会社スタディストさんへのインタビューではありますが、お時間を頂きかつて製造業でTeachme Bizを利用していたものづくり新聞記者の中野より、その活用法をご紹介させて頂きます!
【金型加工メーカーでの新人研修にTeachme Bizを活用】私が入社した時点で既にTeachme Bizは社内に導入されていて、一般的な手順書を伝えるツールとして使われていました。ですが、正直新人の私にはあまり内容を理解することができなかったんです。というのも、当時社内のメンバーはベテランばかりで、熟知するベテランが作ったマニュアルは新人にとっては難しかったんですね。せっかくいいツールなのに活用できずもったいなと感じていたのですが、あるTeachme Bizを新人研修に導入してはどうかと考えました。ベテランが作ったマニュアルが難しすぎるなら、新人が学びながらマニュアルを作成すれば新人の理解も深まるし、マニュアルも残る。これは一石二鳥ではないかと思いました。具体的には●各工程の研修を回り、それぞれの工程ごとマニュアルを作成してもらう *気付いたこと、疑問、自分の考えを入れてもらう ●研修中は定期的にミーティングし、マニュアルをチェックする *作成したマニュアルを使って、その業務を説明してもらう *新人の興味関心や得意不得意を見極めるその結果、新人や初心者にとってわかりやすいマニュアルを作成することができました。できたマニュアルは新人にとっても学びの記録になりますし、次の新人やインターンで来た学生への研修の時にも活用できるので、Teachme Bizがあってよかったなと感じました。
🗞山下さん、このようなTeachme Biz活用法はいかがでしょうか?
「色々と工夫して頂いていることが伝わり、ありがたく思います。今のお話のように自分たちで活用法を考えて実行していただければ何よりなんですが、入社当初あまり活用されていなかったというお話もあったように、なかなか活用に困るケースってあると思うんです。だからこそ、やはりカスタマーサクセスの部分を手厚くしていくべきだと改めて思いました。」
🗞具体的にはどのようなカスタマーサクセスの方法をお考えでしょうか?
「こちらからTeachme Bizの稼働状況を確認し、以前は頻繁に利用されていたお客様が最近あまり活用されていないというような場合にご連絡させて頂いたり、マニュアルにしたい作業の整理などもお手伝いさせていただきたいと考えております。それぞれのお客様のフェーズにあった運用リードを心がけ、併走させていただきたいです。」
🗞その場合、例えばスタディストさん主催の使い方講座なども開催していただけるのでしょうか?
「そうですね。使い方やアドバイスなどは社内の方々向けに開催しております。その前の”マニュアル化したいけどどう整理したら良いかわからない”というお悩みや、使っていただく内に生じる”社内での認知度を高める方法”などの課題には、お客様の社内でTeachme Biz運用のキーユーザーとなる方と密にコミュニケーションを取る体制を整えております。」
🗞社内でキーユーザーになりうる方のペルソナは具体的なイメージありますか?
「マニュアル化や業務改善、人材育成などの部署部門の方々ですね。そういった方々のミッションとTeachme Bizでできることがイコールになっているので、お問い合わせいただくことが多いですね。」
🗞社員の高齢化が進んできて、マニュアルとして熟練の知見を残そうというケースについてはいかがですか?
「そういったケースももちろんありますね。私が担当しているお客様の中にも、技術伝承の課題をきっかけにTeachme Bizを導入いただいている企業様がいらっしゃいます。」
🗞この先Teachme Bizをどのように発展させていきたいとお考えでしょうか?将来像を教えてください。
「今のままインパクトを出していきたいと考えています。多くの企業様が持っている生産性向上や業務効率という課題とマニュアルがまだ結びついてないなという感触を持っています。例えばDXを活用して課題解決に乗り出すだけでなく、足元にあるやるべきことをしっかりやっていくことで本当の意味で業務効率化や生産性向上に繋がっていくのではないでしょうか。”本当に生産性向上に繋がるの?”という気持ちも理解した上で、Teachme Bizはその考え方も変えていくような力を持っているんです。業務改善、生産性向上ならマニュアルだよね、と思ってもらえる未来を目指しています。
🗞最後に読者の方々、特にTeachme Bizを使うことの多いであろう新入社員や若手の方々へメッセージをお願いします。
「熱く生きてほしいです。製造業に従事されている若手世代の方は、今後の日本の製造業を支え、創っていく重要な存在であると思います。日々の仕事にやりがいを持って臨んで、その仕事の中に是非Teachme Bizを使っていただけたら嬉しいです。」
株式会社スタディスト所在地:東京都千代田区神田錦町1-6住友商事錦町ビル 9F代表取締役社長:鈴木 悟史
〜🗞ものづくり新聞編集部より🗞〜
入社時や部署移動などで新しい仕事に取り組む時、直接先輩から教えてもらうことと同じくらいマニュアルの存在は心強いものです。予習や振り返りも出来ますし、何度も見てアップデートしていくうちに自分のお守りのような存在になります。そんなそれぞれのお守りを共有し、高め合い、社内に残していくことが様々な課題解決のサポートをしてくれるのではないでしょうか。
Teachme Bizやスタディストさんの取り組みにご興味のある方がおられましたら、編集部のご相談窓口までご連絡ください。まだ直接相談する段階ではない、このサービス以外のことも知りたい、という方もお気軽にご連絡ください。